1.要求定義
当節ではまず、当日報システムの開発に至った背景を示し、それに対する要求定義をまとめます。
1.1.背景
現在、Xware 社(当ドキュメント内では Xware 社のうち東京を指す)の勤務体制は複数のプロジェクトに分散してそれぞれの開発作業に当たっています。社内の勤務日報については現行のシステムである MS-Excel を用いた入力フォーマットがあり、これを利用することによりプロジェクト単位の稼働や東京メンバ全体の稼働を算出することが可能となっています。
しかし、各プロジェクトで入力した MS-Excel のファイルを集計した月報ファイル(これも MS-Excel によって算出)を月報担当者に対して電子メールを利用して送付する必要があり、更に月報担当者は各プロジェクトの入力内容をチェックした上で本社に送付するという手順を踏む必要があります。これらの手間は膨大なものであった上に、さらにプロジェクトが更に分散したため作業の効率は下がる一方となりました。
このためインターネットを利用した日報システムが必須要件として上がってきました。インターネットを利用することにより各プロジェクトのメンバが場所を問わずに入力作業が可能となるだけでなく、システムとして構築することで一連のチェック作業や集計作業をシステムに依存することができるのです。各社員は各自の稼働情報を日々入力することで担当者は必要な時に集計情報を取得することができます。プロジェクトが分散してもインターネットを利用したシステムになっていれば日報の管理は効率良く行えることになります。
このような背景から Xware の社内システムの一環としての日報システムを開発する用件が上がることとなりました。システム開発においては要求定義は顧客の要求に基づいて行うものですが、今回は Xware 社の経営陣から日報システムとして必要な機能を洗い出してもらい、それを要求として日報システム開発における要求定義としました。
1.2.利用者の定義
当ドキュメントを始め、設計書及び日報システム全般における利用者について以下のように定義するものとします。
1.3.各利用者における要件
1.3.1.社員
- 社員は出社時間・退社時間が登録・変更できること。
- 時間の登録単位を作業(社内作業等)項目毎に登録できること。
- 社員は遅刻・休暇理由が登録・変更できること。
- 社員は指定月の月報が照会できること。
- 入力内容・合計稼働時間・遅刻回数・休暇回数・残休暇日数等が照会できる。
1.3.2.日報管理者
- 日報管理者は、指定月の全社員の月報が登録・変更・照会できること。
1.3.3.休暇届管理者
- 休暇届管理者は、指定月の全社員の月報が照会できること。
- 休暇届管理者は、全社員の休暇の承認ができること。
1.3.4.各作業グループリーダ
- 各作業グループリーダは、グループ内メンバーの月報が照会できること。
- 入力内容・合計稼働時間・遅刻回数・休暇回数・残休暇日数等が照会できる。
- グループ内、当月合計稼働・当月合計人月・累計稼働・累計人月
1.3.5.総務
- 総務は社で定める休日の登録ができること。
1.3.6.人事
- 人事は、社員情報の登録ができること。
- 社員の情報が登録・変更・削除(退職)ができること。
- 契約内容の情報が登録できること。
- 社員が従事しているプロジェクトが登録できること。
- 人事は全社員の月報が照会できること。
- 入力内容・合計稼働時間・遅刻回数・休暇回数・残休暇日数等が照会できる。
- 全社員の月報が一覧で照会できること。
- 人事は、プロジェクトの状況が照会できること。
- プロジェクト別の稼働が照会できること。
- 稼働の集計単位は月報・契約内容の両方から算出できること。